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2024/07/03

「共働き世代」が充実したキャリアを築くためにやるべき4つのこと

2023年版労働白書によると、2022年時点で、夫婦のいる全世帯の約70%が共働きだそうです。


人口減少が止まらない昨今、労働人口増加へ向けた取り組みが、政府や企業主導のもとなされています。その結果が70%という数字に現れており、今後も共働き世帯は増加し続けていくことが予想されます。


しかしながら、結婚・出産などのライフイベントにより、順調だったキャリアの先行きに不安を感じたり、今までと同じように働き続ける自信が持てなくなったりする方も少なくありません。


本記事では、共働きが当たり前になりつつある「共働き世代」が、充実したキャリアを築くためにやるべき4つのことを紹介します。


共働き世帯は年々増加している

厚生労働省が公表した、共働き等世帯数の年次推移によると、共働き世帯は右肩上がりに増加しています。

引用:厚生労働省 令和5年版労働白書ーつながり・支え合いのある地域共生社会ー
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/backdata/02-01-01-03.html


上表によると1997年を境に、「共働き世帯数」が「男性雇用者と無職の妻からなる世帯数」を上回り、その差は年々大きくなっています。


そして2022年には、夫婦のいる70%以上の世帯が共働きという結果になりました。


共働き世代が増加している背景を考える

70%以上の家庭が共働きを選択している状況から、昨今の現役世代は「共働き世代」とも言えるでしょう。そもそもなぜ、共働き世帯がここまで増えたのでしょうか。


その背景にある要因を、5つピックアップしてみました。


1. 物価上昇に対応するため

物価上昇の波は、共働きを選択する大きな要因になっています。
終わりの見えない物価上昇に、追いつかない賃上げ。


片働きでは家計が回らないため、共働きを選択せざるを得ない世帯も増加しています。
日銀の生活意識調査(※1)によると、今後も物価上昇が止まらないと予測する人が8割を超えているそうです。


この結果から、今後の更なる物価上昇に備え、共働き世帯は増加し続けると思われます。


※1参照:日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」(第97回<2024年3月調査>)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2404.htm


2. 働き手不足解消のための法整備

働き手不足解消のための法整備も、共働き増加の一因です。
少子高齢化が急速に進んでいる日本では、労働力の確保が課題となっています。


この状況を打開するため、国を挙げた法整備が進められてきました。
そのひとつに、「育児・介護休業法」があります。


育児・介護休業法により、

● 育児、介護休業制度
● 子どもの看護休暇制度
● 介護休暇制度
● 育児・介護を容易にするため所定労働時間等の措置
● 育児・介護を行う労働者に対する支援措置

これらの制定が企業に義務付けられました。


その結果、子育てや介護と仕事の両立がしやすくなり、女性の離職率が減少しています。


2024年5月には改正案が可決され、2025年4月以降、支援がさらに拡充されることが決まりました。このことから、今後も女性の離職率は減少し続けることが予想されます。


3. 男女雇用機会均等法の拡大

男女雇用機会均等法の拡大も、共働き世帯の増加を後押ししています。
男女雇用機会均等法は1986年の制定時、男女を平等に扱うことを努力義務としていました。


しかしその後の改正で、

● 女性であることを理由とした差別的扱いが禁止
● 出産・育児などによる不利益な扱いの禁止
● マタニティハラスメント防止措置を講じるこの義務付け

などが明記されました。


この一連の法改正により、女性の妊娠・出産・育児に左右されないキャリア形成が保障されました。


このように、法律で女性の権利が守られるようになったことも、共働き世帯の増加に繋がったと言えるでしょう。


4. 企業ごとの充実した子育てサポート制度の導入

企業独自のサポート制度も、女性の子育て離職防止に繋がっています。
法律で定められた育児休業の期間は、原則満1歳まで。しかし、育児休業後も数年間の休暇を取得できる企業も増えてきました。


休暇制度だけではなく、

● 事業所内託児所の設置
● 病児保育機関との連携
● 育児サービス費用の補助
● 在宅勤務の推進

など、子育てと仕事を両立しやすくする、独自制度を設ける企業も増加しています。


企業が積極的に社員の育児をサポートする流れも、共働きしやすい要因になっています。


5. 第3号被保険者制度の廃止・見直しに向けた動きも要因に

第3号被保険者制度の変容も、女性労働者の増加に影響しています。
国民年金法改正のたび、厚生年金の加入要件は緩和されています。2024年10月には加入対象がさらに拡大することが決まっており、今後も第3号被保険者の対象は縮小していくでしょう。


この法改正が追い風となり、年収の壁を気にすることなく働けるパート労働者が増加することが予想されます。
この流れに付随して、働く女性が増加し、共働き世帯も増加していくことでしょう。

共働きのメリット

それでは、改めて共働きのメリットを考えてみましょう。


世帯収入を増やせる

世帯収入が増えることは、大きなメリットでしょう。
家計に余裕が生まれると、気持ちにもゆとりが持てるようになるからです。


また、夫婦のどちらかが働けなくなった場合など、不測の事態が起きた場合でも収入が途絶えないのは、心強いですよね。
金銭的・精神的に余裕を持てることは、共働き最大の強みと言えます。

計画的に貯蓄しやすい

世帯収入が多いと、貯蓄にもお金を回しやすくなります。
物価上昇が続く昨今、日々の生活費のやりくりだけでも大変ですよね。


しかし2人分の収入で家計に余裕があるほど、子どもの教育費やマイホーム資金、老後資金の貯蓄がしやすくなります。
将来に備えた貯蓄にもお金を回せることは、大きなメリットと言えるでしょう。

年金の受給額が増える

リタイア後に受け取れる年金額が増えるのも、ポイントです。
専業主婦や働き控えをしているパート労働者が含まれる、第3号被保険者は、老後に基礎年金のみ受け取ることになります。


しかし、会社員などの第2号被保険者の場合、基礎年金に加え厚生年金も受け取ることができます。
起業して第1号被保険者になる場合も、国民年金基金に加入することで、将来受け取れる年金額を増やすことができます。


このように年金の受給額を増やし、老後の生活資金にも余裕を持てることは、共働きのメリットですよね。

充実感が得られる

家庭以外で自分の力を発揮する場を持つことで、充実感を得られることも、働くメリットです。
家庭など一つの居場所だけで過ごしていると、孤独を感じやすくなりますよね。


しかし、仕事を通して社会と繋がりを持つことで、張り合いのある毎日を過ごせるのではないでしょうか。
働くことで日々の生活にメリハリがつき、充実感を得られることも、仕事を続ける大きなメリットになるでしょう。

共働きのデメリット

反対に、共働きにデメリットはあるのでしょうか。


肉体的・精神的な疲労が溜まりがち

仕事と家事の両立で、心身ともに疲労が溜まってしまう場合が多いです。
特に子育て中は、仕事と家事に並行して、子どもにも多くの時間を割く必要があります。


そのため、時間に余裕を持ちづらく、身体をゆっくり休める時間が取れない場合も。
ゆっくり休みたくても休めない日々の連続で、心身の疲労が溜まりやすくなることも、共働きのデメリットと言えるでしょう。
手を抜けるところは手を抜いて、たまにはゆっくり休んでも良いかもしれません。

家事・育児の分担で揉めることも

共働き家庭では、家事・育児を夫婦で協力することが必須です。
しかしどちらか一方に負担が偏り、不公平感から揉めてしまうことも少なくありません。


そんな時こそコミュニケーションを取り、お互いの意見に耳を傾けることが大切です。
近年は、家事や育児の外注サービスも充実しています。
それらを上手く利用して、負担そのものを減らすのもひとつの手です。

子どもが体調不良のとき対応に困る

子どもの急な体調不良に、困ることもあるでしょう。
子どもが体調不良を起こすと、場合によっては数日間休まなければならないことも。
仕方がないこととはいえ、連続して休むことに罪悪感を抱いたり、上司への連絡を憂鬱に感じたりすることもあるでしょう。


しかし、そんな状況に備えておくこともできます。
病児保育に登録したり、リモートワークにも対応できるよう準備したり、あらかじめ手を打っておくと良いかもしれません。

家族で過ごす時間が減る

家族でゆっくり過ごす時間が減ってしまう可能性もあります。
共働きをしていると、日々時間に追われ、目の前のやるべきことをこなすのに精一杯になりがち。


結果、子どもとゆっくり触れ合う時間や、家族団欒の時間が思うように取れないことが多くあります。
時短家電の導入や、家事代行サービスの利用を検討し、時間の節約を意識するのもおすすめです。

共働き世代がキャリアを築くためにやるべき4つのこと

共働き世帯が大多数となった昨今ですが、働く理由は人それぞれです。
ここからは働くことを選択した方が、充実したキャリアを築き続けるために、やるべきことを4つご紹介します。


1. 今までに身につけてきたスキルを可視化しておく

自分が持っているスキルを可視化させることをおすすめします。
自分のスキルを改めて認識することで、今後のキャリアに選択肢が増えるからです。


今までの経験や、身につけてきたスキルが、思いもよらない業種で活かせるかもしれません。
ご自身の可能性を広げるためにも、ぜひやってみてくださいね。

2. 起業も選択肢に入れてみる

今までのキャリアを活かして、起業することも検討してみてください。
起業すると自分で仕事を作る必要はありますが、働く時間や仕事の量を調整することができます。


時間の融通が利きやすくなるので、家事・育児と両立がしやすくなりますよ。
柔軟な働き方がしたいという方にとって、起業は最適な選択かもしれません。

3. 自身の置かれた状況を打ち明けてみる

家庭や自身の状況を、上司や同僚に共有しておくのもおすすめです。
子育て中の家庭では、子どもの体調不良や学校に行きたがらないなどのトラブルで、仕事を休まなければならないこともしばしばあります。


実家などの援助が見込めない場合、急に仕事を休むことへの罪悪感などから、キャリアを諦めてしまう方も少なくありません。


そうならないためにも、現在の家庭の状況や自身の置かれた状況などを、職場の人たちと共有しておくと良いかもしれません。


あなたの状況を理解し応援してくれたり、思いもよらない解決策をくれたりするかもしれません。一人で悩まず上司や同僚を巻き込んで、キャリアを築き続けることをおすすめします。

4. 夫婦の協力体制を整える

夫婦が協力し合える関係でいることも、これからのキャリア形成には欠かせないことです。
共働き夫婦が仕事と家庭を両立するためには、お互いに協力し合うことが欠かせません。


それぞれが理想のキャリアを築いていくためには、夫婦一丸となって家庭を運営することが大切です。


そのためにも、夫婦間でコミュニケーションをしっかり取り、お互いを応援し合えるような夫婦関係を築けたら良いですよね。
夫婦の協力体制を整えることこそ、順調なキャリア構築のために最も重要なことと言えるでしょう。

まとめ

共働き世代が充実したキャリアを築くためのポイントは、幅広い選択肢を持つことです。
そして、共働きだからこその悩みや困りごとを、一人で抱え込むのはもう止めましょう。


家族や職場の上司や同僚に相談したり、便利な家電やサービスに頼ったりして、解決の糸口を見つけてくださいね。



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(文:広岡愛子)