column
2022/05/18

ストレスフルな会社員。仕事選びでストレスは減る?

現代を生きる私たちにとって、ストレスとの付き合い方は大きな課題です。


「精神的につらい」

「心が落ち着かない」

「夜眠れない」

など、ストレスを原因とした症状や程度は人によって様々です。


厚生労働省が令和2年に行った労働安全衛生調査では、調査対象のうち54.2%の方が現在の仕事や職業生活に関するストレスを感じていると回答しています。また、日本の働く世代の自殺率は他国と比較しても高水準を維持しており、ストレスと仕事の関係は密接であると言えます。


今回は会社員の抱えるストレスとその解消方法について考えていきます。


参考:令和2年労働安全衛生調査
00_令和2年労働安全衛生調査(実態調査)_概況表紙 (mhlw.go.jp)



会社員のストレスの種類と原因

「あなたは仕事で何に一番ストレスを感じますか?」と聞かれた時、一番最初に何が思い浮かぶでしょうか。人それぞれ回答は異なると思いますが、ストレスには必ず原因があります。

ここでは会社員にスポットを当て、ストレスの原因やその種類について紹介しましょう。


■仕事の量

厚生労働省の調査でも、最も多くの方がストレスの原因として仕事量を挙げています。


仕事量と比例して、労働時間も長くなる傾向があります。仕事について考える時間が増え、脳の休まる時間やプライベートに使える時間も減ることが、ストレスを感じる一因と言えます。

会社などの組織に所属すると、依頼を断ったり、業務量を自分だけ減らしたりというのは難しい場合が多いでしょう。責任感の強い方や周囲の目を意識してしまうことの多い方、断るのが苦手な方は特にストレスの原因になりやすいです。

■仕事内容

心からやりたいと思える仕事、自らの強い意志で選んだ仕事をしている時は、多少の無理や苦労もストレスと感じない場合が多いです。

反対に、本当はやりたくないけれど無理やりやらされている場合などは、ちょっとした出来事でも強いストレスを感じることがあります。

会社員の場合は人事があり、自分の希望が全て叶う訳ではないため「会社に振り回される」「思い通りにいかない」と不満を感じることも多いでしょう。

「自分の意志に合った仕事をしているかどうか」という点は、働き方とストレスを考える上で非常に重要なポイントです。

■仕事の失敗と責任の重さ

いわゆるプレッシャーがストレスの要因になる場合です。

ミスした場合の自責の念や、他者から責められる環境は心理的ストレスがとても大きく、じわじわとストレスが蓄積していきます。

こちらも、真面目で責任感の強い方や、プロジェクトなどで重要な任務を任されている方は特に感じやすいストレス要因です。

■人間関係

組織に所属する上で、人間関係は必ず影響してきます。

上司・同僚・部下・取引先・顧客など、様々な異なる立場の人に囲まれて行動すると言うのは、精神的負荷がとても大きいです。

休憩時間も職場の愚痴に付き合わされるなどの人間関係に辟易して、退職・転職をされる方もいます。それだけ組織で働く上で、人間関係は非常に大きな影響をもたらすと言えます。

■会社の将来性

少し前と違い、現在は「会社勤めなら安心」「大手企業なら安泰」とは言えない時代です。

大手企業、中小企業問わず会社の将来性が保証されることはなく、会社の業績が傾けばリストラや倒産も起こり得ます。実際に、世界時価総額ランキングでも、ここ30年でトップ50に入る日本企業が大きく減少しました。

会社に依存した働き方をしていると、会社に人生を委ねることになり、将来への不安によるストレスはより大きくなってしまいます。

ストレスを感じやすい人の特徴

同じ事象でもストレスと感じる人と感じない人がいます。

つまり、「ストレス」か否かは受け手の捉え方次第とも言えるのです。ここでは特にストレスを感じやすい人の特徴を4つご紹介します。

■完璧主義

「ミスが無いようにしなければ」

「〇〇はこうあるべき」

「他人の失敗も自分の失敗も許せない」


など、「〜〜ねば」「〜〜べき」の意識が強く、完璧にこなそうとする方は真面目で妥協できない傾向があります。
責任感が強く、仕事ができる方も多い反面、他者にも自分にも厳しくストレスを溜めてしまいがちです。

一度、自分の中の「〜〜ねば」「〜〜べき」に対して「本当にそうなのかな?」と疑問を持ってみることがおすすめです。肩の力を抜いてみると、新たな捉え方が見えてくるかもしれません。

■自分の意見を言えない

自身の考えや意見を言う事に恐怖心や抵抗感があり、つい他人に合わせてしまうケースです。

他人に相談することができずに一人で悩みを抱えてしまったり、「本当は自分の意見があるのに遠慮して言えない」などの場面が続くと、知らず知らずのうちにストレスが蓄積していきます。

自分の思いや考えを伝えることは仕事に関わらず、日常の人間関係でも大切なこと。伝えられるようになって損することはありません。まずは身近な人から、少しずつ思いを伝えてみる練習を始めてみるのも良いでしょう。

■真面目、努力家

真面目で努力できることは長所であり、仕事の面に於いては非常に役立つ能力です。責任感も強いため、重要なポジションを任されたり信頼されることも多いでしょう。

ただ、仕事ができる故に業務量過多になってしまったり、上手く休むことができないという傾向があります。仕事ができるからこそ、手の抜き方、休み方を身につけることを意識してみましょう。

すべて自分でやらなくても大丈夫。休める時にしっかりと休み、日常にメリハリを持つことで、仕事でもより高いパフォーマンスを発揮できるようになります。

■周囲と比較してしまう

「自分の仕事が終わっても周りの人より先に帰れない」

「自分と他人を比較してへこんでしまう」

など、他人の目が気になり勝手にへこんでしまうケースです。こちらは自己評価の低さにも繋がります。

他人の目線が気になるのであれば、客観的なあなたへの評価を知ってみることが有効です。あなたが感じている不安や心配は、案外あなたの思い込みかもしれません。

「なんだ、私の思い込みか」そう思えたら、仕事だけでなく、生きていくこと自体が楽になりますよ。

ストレス解消方法

健やかな暮らしのためにもストレスを溜めないことは大切ですが、溜まったストレスを発散させることもとても大事。今回は、手軽にできるストレス発散方法をお伝えします。

溜まったストレスはまず発散!

ストレスと付き合う上で大切なことは、溜め込まずに定期的に解消させること。ストレスを感じやすい方には、頑張り屋さんでついつい我慢をしてしまう方がとても多いです。

「これくらい平気」

「まだ大丈夫」

と思わずに、ちょっとでもストレスを感じたらこまめに発散することが、ストレスとの付き合い方のコツです。

①人に話す

特に女性に多いのが、人に話し、聞いてもらうことでスッキリするタイプ。

起きたこと、思っていること、感じたことを言葉にすることで、ストレスと感じた出来事を客観的に整理できるという効果もあります。

②適度な運動

身体を動かすことで脳の血流が良くなると、セロトニンなどの神経伝達物質が分泌されます。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神の安定や安心感をもたらす効果があります。

脳内のセロトニン量が増えると、イライラが軽減し、心が落ち着くと言われています。
また、頭の回転が良くなるため、脳を活発に動かすのにも重要な物質です。

適度な運動は身体の健康だけでなく、心の安定にも繋がるため、積極的に取り入れたい解消方法の一つです。

③自分を“好きなこと”で満たす

・行きたいところへ旅行に行く

・会いたい人に会う

・欲しいものを買う

・食べたいものを食べる

など、今自分がしたい事に素直に従ってみることで、心を満たす方法です。自身の欲求を満たすことだけでなく、新たな気づきや出会いは自分の世界を広げてくれます。

全ての経験には価値があります。遠慮なく、自分の心を満たしてあげましょう。ストレスとの付き合い方も、新たな視点が見えてくるかもしれません。

④質の良い睡眠

睡眠はストレス解消の基本。十分な睡眠をとらないと脳の機能が低下し、正常な判断ができなくなったり、ストレスにも弱くなります。

寝る前の2時間はスマホを控える、湯船にゆっくり浸かる、寝る前のアルコールを控えるなど、質の良い睡眠をとることを心がけましょう。


働き方を変えるとストレスも変わる?

私たちは日常の多くの時間を仕事に費やしています。仕事次第ではストレスの種類や感じ方も変わるはず。
ここからは働き方の観点から、感じるストレスの違いについてご説明します。

■転職

環境を変え、会社員として働き続ける方法です。

現在の職場にストレスを感じる多くの方が、まず最初に思いつく選択肢かと思います。働く環境が変われば業務内容、業務量、人間関係も大きく変わるため、ストレス軽減の効果は期待できます。

一方で、組織に所属する以上、組織内の人間関係や、人事、会社の経営状況の影響を受ける点などは避けることができません。

■起業・個人事業主(フリーランス)

自分自身で事業を起こす選択肢です。
個人事業主(フリーランス)として働くこともできますし、会社として組織的に事業を行うこともできます。

1番のメリットは「自分のやりたいことに挑戦できる」ということです。会社員の多くの方が抱える「業務量・業務内容」に関するストレスを、自身の裁量で調整することできます。

働き方も収入も全て自分次第。自分で道を切り拓いていくことにやりがいを感じることができる反面、責任はより重くなります。

やりがいとストレスは表裏一体。自分自身が何を優先するかで、ストレスに対する感じ方は変わってくるでしょう。

■副業・複業

会社に所属しながら別に事業を行うことを指します。

メリットは会社に依存しない働き方ができること、そして本業では得られない知識や経験を得ることで、スキルアップが図れるという点です。

本業と副業をこなすにはどうしても労働時間が長くなってしまいます。プライベート時間、労働時間のバランスがストレスとの付き合い方の課題となります。

まとめ

あなたは何に一番ストレスを感じますか?どのような働き方が理想ですか?

とかく真面目で、頑張ってしまう方がとても多い日本人。だからこそ、ストレスとの付き合い方を考えることはとても大切です。

私たちの人生の多くを占める仕事。ストレスとの付き合い方を考えるということは、働き方を考えることに繋がります。


ここ数年で私たちの働き方は大きく変わり、様々な選択肢が現れました。現在の働き方、キャリアに違和感を感じた時こそ、変化のチャンスかもしれません。

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(文:長岡舞)