- column
- 2022/06/08
いま注目のダイバーシティとは?女性の働き方は変わる?
「育休から復帰したものの、仕事と育児の両立が大変。もっと自分のライフスタイルにあった働き方ができないだろうか。」
「今の会社は男性管理職だらけ。育児をしながらでは将来に希望が持てない。」
働きながらこのような不安を抱いたことはありませんか。
近年注目されている「ダイバーシティ」は、このような不安を解決する鍵を握っています。
ダイバーシティ(=Divercity)は直訳すると「多様性」を意味し、人種や宗教、性別などさまざまなバックグラウンドをもった人たちが集まっていることをさします。
今回は、ダイバーシティの歴史や注目される理由、企業での取り組み、自分らしい働き方についてご紹介します。
- 1. ダイバーシティの歴史と注目される理由
- 1.1. ■ダイバーシティの歴史
- 1.2. ■”いま”ダイバーシティが注目される理由
- 1.3. ビジネスのグローバル化
- 1.4. 価値観の多様化
- 1.5. 少子化による生産人口の減少
- 2. 日本企業のダイバーシティへの取り組みとその課題
- 2.1. ■日本企業の取り組みと事例
- 2.2. エーザイ株式会社
- 2.3. ■日本のダイバーシティに対する課題
- 3. 複業や副業 進む働き方の多様化
- 3.1. ■多様化する働き方
- 3.2. ■副業や複業がしやすい社会に
- 4. 起業も一つの選択肢に「自分らしく働く」ための方法
- 4.1. ■今は起業へのハードルが下がっている
- 4.2. ■起業の魅力
- 4.3. ■起業が向いている人の特徴
- 5. まとめ
ダイバーシティの歴史と注目される理由
まず、ダイバーシティの歴史やダイバーシティが注目される理由について解説します。
■ダイバーシティの歴史
1960年代、アメリカ合衆国で黒人や女性などマイノリティとされていた人々の雇用機会の平等を法律上で義務化する動きが、ダイバーシティの始まりとされています。
日本では1980年から1990年の間で、企業が積極的にダイバーシティを取り入れるようになりました。この時期は男女の雇用差別が問題になっていた時期で、日本企業のダイバーシティは女性活用から始まりました。
■”いま”ダイバーシティが注目される理由
先ほど紹介した通り、ダイバーシティには長い歴史があります。
では、なぜ”いま”注目されるようになったのでしょうか。
それは、社会の変化によって企業がダイバーシティを取り入れる必要性が急速に高まったからです。社会の変化は主に3つあります。
・ビジネスのグローバル化
・価値観の多様化
・少子化による生産人口の減少
企業がダイバーシティを取り入れることで、このような変化にどのように対応しているか解説します。

ビジネスのグローバル化
今までは、ビジネスの多くが国内で行われてきました。しかし、テクノロジーの発展により国外とのやりとりが増えたり、企業自体を海外に進出させるなどグローバル化が進んでいます。
企業のグローバル化に伴い、スムーズな経済活動をするためには、企業で働く人材のグローバル化も求められるようになったのです。役員に外国人を就任させるケースも増えています。
価値観の多様化
現代は、消費者の価値観が多様化しています。例えば、このようなものがあります。
「車は購入せず、必要なときにレンタルしたい。」
「女性でも、男性の様にかっこいい服を着たい。」
企業側も様々な個性や考え方をもった人材を雇用することで、幅広いニーズを理解・対応できるようになります。
また、働き方の価値観も多様化が進み、以前よりワークライフバランスを重視する人が増加しました。時短勤務や育休支援など、以前より様々な労働環境を整えることで、従業員が長く働けるように取り組んでいます。
少子化による生産人口の減少
生産人口とは、日本の生産活動の中心を担う15歳から64歳をさします。
生産人口は1995年の8716万5千人をピークに年々減少しており、2020年は7508 万8千人となりました。このままでは深刻な人手不足が予想されます。
企業は育児中の女性をはじめ、すでに退職した高齢者、外国人など、今まで働く機会が少なかった人たちを活用することで人手不足の解消を目指しているのです。
参照:総務省
令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要 (stat.go.jp)
日本企業のダイバーシティへの取り組みとその課題
では、日本の企業は具体的にどのようにダイバーシティに取り組んでいるのでしょうか。
ここでは、日本企業のダイバーシティへの取り組みと、その課題についてご紹介します。
■日本企業の取り組みと事例
経済産業省は、ダイバーシティに積極的に取り組んでいる企業を表彰する「新・ダイバーシティ経営企業100選」を開催しています。令和2年度に表彰された1社とその取り組みについて紹介します。
参照: 経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/
エーザイ株式会社
エーザイ株式会社は、医薬品の開発、製造、販売を行う企業です。
「社員自らが多様な人々の想いや憂慮を感じ取ることでイノベーションの創出に資するダイバーシティ&インクルージョンを一層強力に推進する」を目標にダイバシティに取り組んでいます。
【主な活動】
・社員および管理職層の女性比率30%以上を目指す。
・働く場所と時間の裁量権を社員に多く持たせ、自立した人材の育成。
・管理職に育児支援の研修をおこない、育休を取得しやすい環境の整備。
・制度整備、各種研修、e-learningなどを活用し、会社主導ではなく主体的キャリア形成の支援。
参照:エーザイ株式会社
https://www.eisai.co.jp/sustainability/employee/diversity/index.html
■日本のダイバーシティに対する課題
残念ながら、日本のダイバーシティは進んでいるとは言い難い現状があります。世界経済フォーラムが毎年発表している「ジェンダー・ギャップ指数」の2021年度版では、156カ国中120位という過去最低の順位を記録しました。
「ジェンダー・ギャップ指数」は経済活動への参加機会や、政治への関与の男女差を表したものです。ダイバーシティの必須条件である、「女性の活用」をみる際の一つ指針であり、日本は主要7カ国のうちで最下位でした。
参照:内閣府男女共同参画局
「共同参画」2021年5月号 | 内閣府男女共同参画局 (gender.go.jp)
複業や副業 進む働き方の多様化
ダイバーシティによって、働き方の多様化が進んでいます。ここでは企業が取り組んでいる新たな働き方や、副業・複業について紹介します。
■多様化する働き方
様々なライフスタイルを持つ従業員が、快適に働ける環境づくりに取り組んでいます。
多様な働き方もその1つです。
・テレワーク
・フレックスタイム制
・時短勤務
・時差出勤
特に、テレワークは新型コロナウイルスの流行によって大きく促進されました。
総務省の調査によると、2018年のテレワーク導入企業は19.1%だったにもかかわらず、2020年は47.5%まで増加したことがわかっています。今後はリモートワークに限らず、多様な働きかたが増えていくことが予想されるでしょう。
参照:総務省 「令和2年通信利用動向調査の結果」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/210618_1.pdf
■副業や複業がしやすい社会に
複数の仕事を掛け持ちする複業や、本業の空き時間で始められる副業など個人で収入を得る人も増えています。
副業が注目されたきっかけは、2018年の『モデル就業規則』の改訂です。
国として副業や兼業を推進していることが記載されています。
また、大企業であるトヨタ自動車株式会社の豊田章男社長が、「終身雇用を守っていくのはなかなか厳しい」と発言したことが大きな話題となりました。この発言によって、日本企業の特徴であった終身雇用の崩壊が世間に認識されたのです。
これからは個人で収入を得ることや、複数の収入源を持つことで、企業に依存しない働き方が求められています。
参照:厚生労働省
副業・兼業|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
起業も一つの選択肢に「自分らしく働く」ための方法
ダイバーシティに取り組む企業は増えてはいるものの、すべての企業がダイバーシティに理解がある訳ではありません。
「今の会社で働いていても、自分に合った働き方ができるか不安。」
「自分にぴったりの働き方ができる方法はないのだろうか。」
このように思った方は、自分で起業することを考えてみてはいかがでしょうか。
昨今はSNSの普及などから女性にとって起業しやすい環境になっています。
起業することで、自分に合った働き方が実現できるでしょう。
ここでは、女性が起業しやすい理由や起業のメリットについてご紹介します。
■今は起業へのハードルが下がっている
「起業」と聞いて、「私にはできるはずがない…」と思っている人もいらっしゃるかもしれません。
しかし、近年は起業する女性が増加しています。背景には会社設立の条件が記載されている新社会法が、2008年に条件の緩和をしたためです。
・1円の資本金が有れば正式な株式会社を設立できる。
・元々3名必要だった取締役は、1名以上に変更
このように、資金や人材が少なくても気軽に起業ができるようになったのです。
また、個人事業主として起業することも可能です。個人事業主であれば、登記の必要もありません。SNSで発信・集客して自分のサービスや商品を販売する女性が増えています。
■起業の魅力
では、起業の魅力はどのような点でしょうか。代表的なメリット3点を紹介します。
・自分の「好き」「得意」が仕事にできる
・自分のライフスタイルに合わせた働き方ができる
・自分の頑張り次第で、際限なく収入を増やせる
起業の魅力はなんと言っても自分の好きなことや得意なことを、自分のライフスタイルにあった働き方でできる点ではないでしょうか。
子供の保育園の時間に合わせて仕事を始めることができたり、オンラインで完結する仕事の場合は、旅行先や海外にいても仕事をすることも可能です。
また、企業に勤めている場合、給料は決まっていますが、起業すれば自分が努力した分、際限なく収入を増やすことが可能です。
■起業が向いている人の特徴
起業の魅力をお伝えしましたが、もちろんリスクもあります。失敗は全て自己責任になり、起業して最初の頃は収入も安定しないかもしれません。
リスクを伴う起業で活躍する人の特徴を3つ紹介します。
ぜひ自分の特徴と照らし合わせてください。
・常に挑戦する気持ちを持っている人
・勉強熱心な人
・楽観的な人
特に大切なのは、「常に挑戦する気持ちを持つこと」です。何事も最初はトライアンドエラー。もちろん勉強や楽観的な考え方も大切ですが、学んだことをアウトプットし、新しいことに挑戦し続けなければ成果を出すことは難しいでしょう。
逆に、成果が出ないとすぐ諦めてしまう人や、失敗を他人のせいにしてしまう人はうまくいかないことが多いでしょう。
まとめ
人生100年時代と言われる現代で、ダイバーシティを含めた「自分らしく働く」取り組みは、これからますます広がっていきます。起業は「自分らしく働く」という理想を叶えてくれる選択肢の一つです。
しかし、いざ起業しようと思っても、何からしたらいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。
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(文:齊藤京香)