interview
2018/03/20

体当たりし続けた10年で手に入れたもの

ライフワークコーチ
加藤晶子さん

週末の代々木上原。ママチャリで颯爽と現れたのは、現在ライフワークコーチとして活躍されている加藤晶子さん。ご主人がミャンマーで事業を立ち上げられたため、4歳の娘さんをワンオペ育児しながらさまざまな活動をする日々。女性らしく淑やかな雰囲気からは想像ができないくらい、これまでの人生はかなりタフでハードな道のりでした。

自分と向き合った先に見つけた覚悟

中高大一貫の女子校で学び、大学卒業後は地元の大手銀行へ就職。親御さんはそのまま地元の方とお見合い結婚することを望んでいたそうだが、入社3年目に銀行を退職することを決意する。

きっかけは、大学時代の海外ホームステイ。様々な国から来た年齢の違うスクールメイトと過ごす中で、価値観がガラッと変わった。日本にはなかった完全に自由な時間と面白い仲間たちとの出会い。その頃から、心の中に自由であることやチャレンジしたいという思いが秘められていたのだ。転職活動の結果、数社から内定をもらった。ところが当時の社内の諸事情により退職することができず、すべての内定を断わり、もう一年銀行に勤めることになる。

でも、振り返ってみると、この一年が加藤さんの人生を切り開いたのだと本人は言う。転職活動をして内定をもらったものの、いまいちしっくり来ず、当時は本当にやりたいことがぼんやりしていた。そこで、一年間を真剣に自分と向き合う時間にしたことで、覚悟が決まったのだ。

”人材の道に進もう”

覚悟が決まると同時に、彼女は大胆にも何も決まらないまま東京で一人暮らしを始める。
「何も決まってないのに?」と驚いて聞くと、「そうそう(笑)」 あっけらかんと言う加藤さん。

でもそんな大胆な行動が功を奏して、見事、第一希望だった株式会社リクルートエージェントに内定が決まる。実は一年前にも採用面接を受けていたのだが、その時は落とされていた。けれど、自分と向き合う一年を経て、彼女の覚悟が採用者の心を動かしたのだ。

入社してからは、まさに体当たりという言葉がぴったり。大変さは予想以上だった。未経験で新卒採用の担当になり、採用説明会から面接、インターンシップや内定者合宿、採用のためのメディア作りなど複数の業務を行う日々。初めは仕事の量やスピード感についていくことができず、1人で仕事を抱え込んでしまい、ぎりぎりになって終わってないことが発覚。周りが総出でフォローする騒動もあり、なんと入社して3カ月目で降給させられる。それでもなんとか持ち前の根性で乗り越え、2年間人事をやり遂げる。

その後突然の辞令。名古屋に異動して法人営業をすることに。そこでも試行錯誤の日々は続き、あまりの大変さに夜な夜な一人会社に残って涙しながら仕事をした時期もあるという。それでもまた、持ち前の根性とコミュニケーション能力でなんとか乗り越え、最終的にMVP賞を取るまでになった。

ところが、そんな職場も結婚を機に手放してしまう。

手放すことで、新たなチャンスが巡ってくる

「採用や人事の仕事をする中で、個人の支援をしたいと思うようになったの。」

個人のキャリア支援をするため、今でいうキャリアコンサルタントの資格を取りに行った学校で新たなチャンスに巡り合う。当時、リクルートがCSR事業として始めた「ホンキの就職」の担当者が同じクラスにいたのだ。ちょうどフリーで活動できるキャリア支援者を探しており、加藤さんに白羽の矢が立つ。資格取得と同時に、絶妙なタイミングで希望していた個人のキャリア支援が始まった。

年間100回以上のセミナーを行い、正社員になれずに苦労している方をはじめ、若者のキャリア支援を行う“育て上げネット”というNPOと共同でニートやひきこもりの方の支援、他にも大学でキャリアデザインの講義なども請け負うことになり、3年間みっちり個人のキャリア支援を行う。

その中で、もっと若い頃から働く意識を育てたい、という想いから、子供のキャリア教育をしたいという想いが芽生え、”キッズイノベーション”という小学校低学年向けのキャリア教育の事業を立ち上げる。時同じくして、娘さんを出産。ご主人もミャンマーでの事業立ち上げが決まり、出産と同時にワンオペ育児、事業運営がスタートする。その後、放課後NPOアフタースクールにマネージャーとして入り、2年で6校もの学童を立ち上げた。お話を聞いていると、こちらが手に汗をかいてしまうほど、加藤さんの人生は濃密で常に200%の全力走だ。

子供から学生、大人まで幅広い層のキャリアに携わった結果、最終的にたどり着いたのが現在のライフワークコーチである。

「キャリアを軸に、自分らしく生きる・働くことに悩んでいる人を支援したい」

自分らしく働くことが当たり前の社会に

今後のビジョンについてお聞きすると、

「自分らしく働く人を増やしたい!最近は副業・複業という有効な手段も出てきたので、自分らしさが何かをちゃんと見つめ、自分らしくいられる時間や居場所を見つけて働くことが当たり前の社会にしたい。その支援をするのが自分の役目。」

自分らしく働くには、何はともあれ、まずは自分と向き合うことが大切だという。自分が本当は何を望んでいるのか。日々、自分の心の動きや変化を振り返ること。そうすることで、他人軸ではなく自分軸で生きられるようになる。

また、新しいことにチャレンジする時は、挑戦する期間を決めるのも一つだという。その期間に結果が出なければ、別の道を考える。その期間無収入でも生活できるだけの貯蓄をしておくことも大切だと。

新しいことにチャレンジするとなると、なかなか一歩を踏み出せない人も多いと思う。

「新たなことにチャレンジする時、不安はないですか?」と聞くと、
「不安はあるけど、なくならないし。選ばなければ仕事はいくらでもあるから、野垂れ死ぬことはないしね」

求人情報をチェックするのが趣味という加藤さん。この間もこんな良い求人があったの!と教えてくれた(笑)

加藤さんにとって自分らしさとは、自由であり、自立すること。
自分で稼げるようになることは、自信や安心感を手に入れ、自立することに繋がる。
自立することで、自分で人生を選択することができ、自由に生きることができる。

不安を理由にやらない選択をするのではなく、常にチャレンジの道を選んできたからこそ今の彼女がいる。そして、全力でチャレンジした積み重ねが自信となり、そこで出会った人とのつながりが新たなチャンスを生む。

これまで出会ってきた人とのつながりは、”自分が生きてきた証”だと加藤さんはいう。
彼女が人生でどんな生きた証を残すのか、これからの活躍が益々楽しみだ。

現在はセミナーや個人カウンセリングの他にも、ライターや大手企業の研修講師なども勤める


取材・文 / 中安加織

ライフワークコーチ
加藤晶子さん

2002年4月に銀行に入行。広報を4年間担当する。
2006年9月より、株式会社リクルートエージェントにて約2年間、100名規模の新卒採用を経験。
その後、名古屋支社へ異動となり法人営業に3年間従事。新規開拓〜大手担当まで経験。MVG・MVP受賞。
2001年11月よりフリーランスとして活動開始。
主に、若年層向けのライフワーク実現のためのワークショップやセミナーを各大学、NPO団体でも実施。
年間100回のセミナー実施や、1000人以上のカウンセリング実績を持つ。
現在は、政府系メディアのライターや、大手企業の研修講師などの幅広く活動。